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最新記事【2009年03月03日】

誰しも人生のなかでさまざまな喜怒哀楽を経験することでしょう。私たちは社会のなかにあって,心配になったり不安になったり,ついつい物事を悲観的に捉えてしまうといったことは避けて通れません。

例えば,会社員のAさん。昇進試験も控え,寝ても覚めても営業の業績のことばかりを考えていたそうです。同期の活躍もうとましく感じられたとか。同じくBさんは,中間管理職にあって,上司からのプレッシャーや部下からの突き上げで不安の毎日で,トイレでふと鏡を見上げると無意識に心配な顔つきをしていたといいます。

主婦のCさんは,家事のやり繰りや,住宅ローンの算段で将来を悲観的に捉えがちでいたそうです。一方で,お子さんが結婚して家を出て行ったので,心にぽっかり穴が開いたような無気力感に囚われるようになったとか。同じくDさんは,家に閉じこもって,家事・育児に追われる日々の過程で、「一体,わたしは外に出て何が出来るのかしら」と悩むようになったそうです。学生のEさんは,受験勉強中は試験に落ちたときのことばかりを考え込んでしまい,いてもたってもいられなかったとか。さらに,女子高生のFさん,男子大学生のGさんは,失恋の悩みで日々キリッとしない生活を続けているとか。年金生活にあるHさんは,余生の不安ばかりを感じるようになったそうです。また,孫が一人暮らしをするようになってえもいわれぬ寂しさを感じるようになったとか。

このような例は、挙げ出したらキリがありませんが、上記の例に該当する方も少なからずいらっしゃることでしょう。このような「症状」(と書きますがあまり重く考えないでください。)が
二週間以上続いているという方は,
[II. 3]をご覧ください。

また,同様の症状が二年の間に頻繁に起こったという方は,
[II. 4]も併せてご参照ください。

うつ病…怖くない病気です

[はじめに]

この度は,【うつ病】をテーマにお話をします。みなさまは,【うつ病】,と聞いてどのようなイメージを抱かれるでしょうか。何か奇異なもの,延いては社会生活にそぐわないものとお考えの方も多いのではないでしょうか。確かに一昔前までは,「うつ病」は,医学的言説においてさえ非常にネガティブな,扱いにくく,確固たる「輪郭」をもたないものとされてきました。「うつ病は治らない」,であるとか「怠惰」など「個人の資質に帰せられる」といった言説が,医師の側からも発せられていたのは事実です。逆にいえば,このように社会全体が「うつ病」に「神秘性」を付与したことは,患者さん自らが「うつ病」を逆手にとり,自身を「特別な心の弱者」として,殻に閉じ込もってしまうような事態をも引き起こしていたといって過言ではないでしょう。

今この現在において,即ち本稿で問題とされるうつ病は,一昔前の「うつ病」とは異なるもの,延いては名称を変えたほうがよいもの,と筆者は考えます。というのは,普段の社会生活を営むうえで,誰しもが避けられない,「心と体の総合的な失調」が件のうつ病だからです。「うつ病は心の風邪」ともいわれますが,うつ病は,誰もが発症する可能性を秘め,また処置の仕様が確立されている病気なのです。今や,このうつ病は,医学の領域において事細かに「輪郭」が与えられている一途にあります。その一方で,社会的なケアという面では,制度的な枠組みが未だ整っていないというのが現状です。この社会的な受け皿を構築するにあたって必要とされるのは,何よりもまず,うつ病に対する社会的認識の改善です。このことを切に感じ,筆を執った次第です。

本文では,具体的にまず第I節で,うつ病発症の契機となりうるような症状の事例を挙げてまいります。続く第II節では,第I節の事例に即して,医学的に定義されたうつ病の「輪郭」を明示します。近年耳にする「うつ病は治る」という言説はいささか誤謬はあるものの,風邪から糖尿病などにいたるまでの病気と同じように,要は病状の程度に応じて処置の難易如何があるということが明らかになるでしょう。第III節では,実際の治療にあたって,診断から治癒までの経過を,患者さん及び,周囲の方々への注意点とともに整理します。第IV節で問題となるのは,うつ病を巡る医療・社会制度の実態です。家族のために,大切な人のために,うつ病患者さんが積極的に医療を受けることができるような受け皿の拡充が,今後の課題として立ち現れてくるでしょう。この課題を達成するうえで不可欠なのは,何よりも社会全体がうつ病に対して無知であってはならないということです。そこで第V節では,うつ病の社会的認知の促進に向けて,同病(に対する認識)の歴史的背景を探ることとします。

なお,【強迫性障害】は,うつ病とは異なる病気です。こちらについても,うつ病と同様の社会的な対応が迫られている領域ですが,本稿で扱うには紙幅の限界がありますので,言及するには至りません。ただし,今やインターネット上でも多くの情報が蓄積されていますので,是非ご覧頂きたいと思います。


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カテゴリー
  • [I. うつ病かな?]
  • 02[II. うつ病の輪郭]
  • 03[III. うつ病を治す]
  • 04[IV. うつ病を巡る医療・社会制度]
  • 05[V. うつ病の社会的認知に向けて]
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