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[おわりに]

以上,本稿では,うつ病の具体的な症状・診断基準・治療方法をふまえるとともに,現状の社会・医療制度についても若干の整理を試み,さらにうつ病の社会的位置づけを探る作業を行って参りました。症状・診断基準・治療方法につきましては,あくまで代表的な事例・基本的な知識を紹介したまでに留まっています。少しでも,疑問に思ったことがあれば,本文中でも何度も繰り返したように,医師とのコミュニケーションを第一義に図ってください。願わくば,医師=患者さんとの間だけでなく,家族や大切な人をも交えた【三つ巴のコミュニケーション】を構築して頂きたいものです。

しかしながら,医療の現場では,効果的なうつ病治療の方法が確立しつつある一方で,本論後半で紹介したように,患者さんが積極的にうつ病治療に専念出来るような社会福祉的な受け皿の構築は,未だ不十分な様相を呈しているのが現状です。今現在必要とされているのは,社会全体が持ち続けてきたうつ病に対するイメージを払拭することです。つまり,不可解な「神秘性」を剥ぎ取り,うつ病に明確な「輪郭」を与えてやることです。うつ病は,現在社会の大きな断面であるといっても過言ではありません。うつ病に対して効果的なケアができるような社会が構築されたときに,それはまた同時に,社会の改善をもたらしてくれるものなのです。うつ病の社会的認知に向けてみなさまひとりひとりが,このような認識にたってうつ病,即ち社会の歪みを見つめ直して頂けることを願ってやみません。

         

[V. うつ病の社会的認知に向けて]

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