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[V. 3] うつ病に関する数値的把握(2)…歴史的推移

さて,わが国におけるうつ病の実態を捉えるには,データ上の制約があることについては,前項でお伝えしたとおりです。とりわけ,現在問題とされているうつ病と,一昔前の「うつ病」は,医学体系が異なる物でもありますし,さらに今やうつ病は,その症状に応じて細分化が進む一途にあります。したがって,本項では,比較的近年のデータのみに基づいて,急増するうつ病(予備軍)の歴史的変化を示すこととします。

といっても,明確なデータが存在するわけではありません。ここでは,「精神科」における「相談件数」をもとにして,世紀転換期の様相を探ってみることにしましょう。

まずは相談件数総数の推移を以下に記します。

1996年… 約3,500件
1997年… 約5,000件
1998年…約10,000件
1999年…約13,000件
2000年…約15,000件
2001年…約20,000件
2002年…約25,000件

となります。精神疾患の罹病もしくは,その可能性のある人が急増していることが自明です。次に,躁うつ病に関する「相談件数」の推移を以下にみてみましょう。

1996年… 927件
1997年… 2,457件
1998年… 4,475件
1999年… 6,542件
2000年… 7,816件
2001年…11,194件
2002年…15,071件

というように,劇的な増加が見出せます。さらに,相談件数総数に対する躁うつ病の割合の推移も抑えておきましょう。

1996年…約26%
1997年…約49%
1998年…約45%
1999年…約50%
2000年…約52%
2001年…約56%
2002年…約60%

いかがでしょうか。うつ病に悩む方が絶対的にも相対的にも激増していることが分かりますね。

しかしながら,このようにうつ病患者さんの苦しみは,社会において一つの大きなうねりとなって立ち現れている一方で,保険や福祉制度などの社会的ケアの拡充は,残念ながら立ち遅れているというのが現状です。本稿冒頭以来,何度か申し上げてきましたが,この「受け皿」の整備にあたって,必要とされる原動力は,何よりもまずうつ病に対する社会的認識の向上といえましょう。では,なぜ,依然としてうつ病を奇異なものとして見る目,延いては排除すべきものとして見る目が存在するのでしょうか。最後に,社会がうつ病を認識する契機を社会学的思考のなかに探ってみましょう。

         

[V. うつ病の社会的認知に向けて]

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