[III. 2] お医者さんに行きましょう
以前にもお話ししたとおり,今やうつ病はごくありふれた病気です。気兼ねなく精神科,心療内科,メンタルクリニックの門を積極的に叩くことが求められる時代です。逆にいえば,風邪から糖尿病に至るまでと同様,ほったらかしにしていてはいけないのです。
では,お医者さんを訪れた際,初診ではどのようなことがなされるのでしょうか。[II. 2]でお話ししたとおりですね。一般的には,【DSM-IV】=【精神疾患の分類と診断の手引第四版】を用いた問診によって,患者さんの症状を客観的に捉える作業が行われます。これについても注記したように,お医者さんの経験・能力を問わず普遍的にデータをとり判断を下すという点から,あくまで「診断」の段階にあります。
ここで,何かしらのうつ病の判断基準を満たすこととなると,治療に向けてのコミュニケーションが図られます。すなわち,患者さん本人を取り巻く,【DSM-IV】には記載されない事項が聞かれるのです。大雑把に整理すると以下のようになります。
【自覚症状】…どのような症状か?いつ頃気がついたか?症状にどのような変化があったか?
【契機】…思い当たる節はあるか?生活環境の変化があったかどうか?職場や人間関係のトラブルがあったかどうか?
【家族】…家族構成や,人間関係はどうか?
【来歴】…学歴や職歴はどのようなものか?生まれ育った経緯はどのようなものか?
【病歴】…過去にどのような病気を患ったことがあるか?
【生活習慣】…飲酒量や煙草の摂取量はどれくらいか?どのような薬を服用しているか?
【性格】…どんな気質が顕著にみられるか?
このような問診には,しばしば家族や親密な人間関係にあるものが同席します。医師側も,早期の原因究明と処置のために,このことを勧めています。また,[II. 6]でも紹介したように,生活環境ではなく病気が誘発するうつ病,というケースもありえますので,問診の結果に応じて,内科検査が行われることもあります。
このようにして初めて,医師はうつ病の判断を下すわけです。ここで注記すべきは,【慢性疲労症候群】という障害です。この障害は,慢性的な疲労倦怠感及び,免疫能力の不調を伴うもので,症状は似通ったものとはいえ,うつ病とは異なるものとして診断されます。うつ病の診断で【慢性疲労症候群】の診断が下されるケースは,比較的多いようです。